アクアクララレポート

アクアクララの少し古情報を入手しましたので公開しようと思います。
まああまり興味のない方が多いかもしれませんが・・・

アクアクララジャパンは2000年3月に三井物産のベンチャー企業として設立されています。

企業概要は次の通り。
■ 社名:株式会社アクアクララジャパン
■ 代表:山田淳一郎■ 設立:2000年3月(三井物産ベンチャー)
■ 所在地:大阪本社・東京本社・北海道支社・名古屋支社・九州支社
■ 資本金:1億2千2百万円
■ 社員数:約200人(推定)

さすがに資本母体が大きいだけあってスタートから規模がそれなりです。

スタート当初はかなり順調に売上を伸ばしています。というか驚異的な売上の伸長です。
設立1年目(2001年9月)は10億円程度だったのが、2年目(2002年9月)には約20億円、3年目(2003年9月)には約50億円まで伸長しているのです。つまり、わずか数年で売上が爆増しているのです。同時に利益も驚異的に伸びており、経常利益も3年で10倍の成長だったそうです。

ここから過去に考えられていたアクアクララの強みについてです。
アクアクララの特徴の一つは「ポジショニング」である。これまで個人は500mlペットボトルの水を購入し、家庭では2リットルペットボトルの水を購入し、社員数の多い企業や工場の場合はコーヒーやジュースが飲めるユニマットやダイオーズなどの大きなドリンクサーバー(ウォーターサーバーも提供している)を利用することが多かったはずである。実は家族人数の多い家庭や、小規模の事務所や店舗、小規模の病院などは、消費量に見合った「飲み水」を供給する仕組みがなかったところにポイントがある。家族人数が多いとペットボトルの水はすぐに飲みきってしまう、大きなドリンクサーバーを置いてもらうには利用人数が少なすぎる・・、このニーズに対応するべくアクアクララは「家庭や事務所、店舗」をターゲットにした。ペットボトルの水は確かに流通では激戦・価格競争ではあるが、このマーケットは競争が少なかったのである。アクアクララのポジショニングの勝利である。
⇒と当時は考えられていたが現場営業力でクリクラに及ばず・・・衰退

そしてもう一つ。
アクアクララの二つ目の特徴は、水が違うことである。ペットボトルの水や、競合企業ダイオーズが提供している水は、ろ過装置を使うことで「安心・安全な水」を作っている。アクアクララは更にこれにミネラル、具体的には海洋深層水を加えて、味覚的な特徴を出している。エビアンなどの輸入ブランドの多くが硬水であり料理などには不向きなのに対して、アクアクララの水は軟水に近いため、飲料以外にも料理や洗顔にも使うことができる。水の質という面で他社とは差別化されている。
⇒水の質は顧客数増減にはさほど影響しない。問題はマーケティングを営業である。

ここからは少し昔話情報です。
アクアクララの水(ウォーターボトル)を製造するプラント数が急増している時期があります。2000年9月にはプラントはわずか3基だったのが、翌年2001年9月には7基、2002年9月には21基、2003年9月には66基、2004年9月には166基まで急増しているのです。年間平均40基も増えています。 実はこのプラントは製造するのに建物・設備だけで約1億円かかります。三井物産系企業といえど先が読めない新規事業でそこまで資金投下はしないはずです。
この急増したプラント工場はフランチャイズの工場なのです。三井物産系というブランドを活かし大手企業が次々とアクアクララ事業に乗り出してきます。そのうちの一社がナックであり後の「クリクラ」です。

アクアクララが狙ったフランチャイジーの条件は、プラントを建設できるような遊休地がある、プラント投資1億円の財務余力がある、ヤクルトや灯油、酒屋などデリバリーの仕組みがもともとある、地域に大きな顧客ネットワークを保有している・・等でした。こういった条件に適する企業は地域の有力企業や有力団体、老舗企業ぐらいです。実際アクアクララのエリアパートナーになった企業には、クラレ、四国電力、エアーウォーターなどの大企業があるわけです。
先日オリックスがコスモウォーターを買収しましたが、オリックスの企業体質から考えるとアクアクララ設立初期のやり方をなぞるようにして、コスモウォーターのフランチャイズ化を有力企業中心にアプローチするのではないかと考えています。

でね・・・この記事を書きながらちょっと思ったことがあります。
コスモウォーター買収関連ではくまおさんのサイトはかなり上位にいる為、今後コスモウォーターと取引を考えている人はくまおさんのサイトを訪問してくる可能性が高いのではないかと思うのです。そうなると、くまおさんは基本的にオリックスのコスモウォーター買収は、コスモウォーターの失速を招くと考えており、その内容を記事として公開しているので少なからずフランチャイズを検討する会社の担当者はくまおさんの意見に影響されるのではないかと考えています。すると・・・このサイトはコスモウォーターサイドからすると邪魔ですよね♪何かしら圧力がかかってきたら報告しま〜す♪

さて、話を戻してアクアクララの歴史です。

下記はあるレポートからの抜粋です。
「アクアクララもミネラルウォーター製造・宅配事業でマーケットリーダーに君臨し続けるためには、一気にシェアを高めて、圧倒的シェアを確立し続けなければならない。 アクアクララが一気にシェアを高める営業戦略として、企業規模が比較的大きく且つ大きな顧客ネットワークを持つ企業を、エリアパートナー候補としてピンポイントで攻略している。企業規模が小さく且つ保有顧客が少ない企業をエリアパートナー化していくよりも、契約顧客を一気に増やすことが可能であり、早くシェア獲得を実現することができる。残るのは“割の悪い”マーケットであり、後発で参入する企業は顧客獲得つまりシェア獲得はかなり効率が悪いはずである。アクアクララはこれからも勝ち続けられるのか?

ここで一つの疑問がある。アクアクララは確かに現在はミネラルウォーター製造宅配ビジネスでマーケットリーダーといえるが、今後もマーケットリーダーに君臨し続けることができるのか?ということである。
特に拡大するミネラルウォーター宅配マーケットを狙って、サントリーやコカコーラなど大手飲料メーカーが本格参入してくることは十分予想される。実際サントリーは営業エリアを限定しているが、このミネラルウォーター宅配ビジネスに参入している。アクアクララは大手商社・三井物産系企業とはいえベンチャー企業であり、企業規模的には不利と言わざるを得ない。サントリーやコカコーラが本格参入してくれば、アクアクララは負けてしまうのか?我々の結論 「サントリーやコカコーラなど大手飲料メーカーがこの市場に本格参入してきたとしても、アクアクララは負けない!」というのが我々の結論である。

この結論を導いた理由を7 四つあげることができる。

(理由その1) 大手飲料メーカーがHOD市場に本格参入することは、彼らがもともと持っている商品「ミネラルウォーターボトル」とのカニバライゼーション(共食い)になる可能性がある。つまり社内で宅配ミネラルウォーター(ボトル)とミネラルウォーターPETボトルとの両方が存在することになり、社内競合を起こしてしまう場合がある。既存商品ミネラルウォーターPETボトルの売上に影響を与えるほど宅配ミネラルウォーター事業を強化しづらくなり、アクアクララに影響を与えるほどではないと思われる。

(理由その2) 大手飲料メーカーの大規模工場での一括大量生産では、ミネラルウォーター宅配ボトルの運送コストが見合わない。このビジネスは、全国各地の各家庭や各オフィスまで1個単位で届ける必要があるため運送コストの割合は高い。よって大規模工場での宅配ボトルの一括大量生産により製造コストを抑制できたとしても、その工場から全国各地に配送した場合、利益確保は難しい。
しかしアクアクララの場合は大規模工場での一括大量生産は行っていない。全国各地のエリアパートナーが自ら小規模工場(プラント)での生産を行い、アクアショップ(エリアパートナーと同じ場合も)が各家庭や各オフィスへのデリバリーを行う。つまり生産拠点と宅配エリアを近づけることで、運送コスト負担を引き下げている。 大手飲料メーカーの存在基盤ともいえる大量生産・大量販売の仕組みを変えない限り、アクアクララには勝てない。

(理由その3) 大手飲料メーカーが宅配ルートを強化すれば、既存流通チャネル(酒屋、コンビニ、スーパー、系列ベンダー、自動販売機など)とのコンフリクト(摩擦)が生じる可能性がある。ミネラルウォーター宅配ボトルの売上が伸長した場合、これまで既存流通チャネルでのミネラルウォーターPETボトルの売上が減少することも考えられる。その場合、既存流通チャネルは、メーカーに対してミネラルウォーター宅配エリアの制限を要求してきたり、ミネラルウォーター宅配ボトルの取り扱いを要求してくることも考えられる。大手飲料メーカーは、長年かけて築いてきた流通チャネルへのコンフリクトをヘッジしようとするため、アクアクララに影響を与えるほど本格参入できないと思われる。

(理由その4) 既存流通ルートが確立しているのに、わざわざ販売コストをかけて宅配ルートを開拓するのは効率が悪い。アクアクララの場合、コンビニやスーパーなどの有店舗ルートが全くなかった為、宅配ルートの開拓に集中化せざるを得なかった。しかし大手飲料メーカーの場合、既に既存流通チャネルが確立しており、新商品発売と同時に全国流通網にのせることが出来る。その中でわざわざ販売コストと時間をかけて新たに宅配ルートを開拓することは非常に効率が悪く、経営資源の分散化を引き起こしかねない。また宅配ルートを開拓しても、そのルートで既存商品(ミネラルウォーター以外の飲料、その他の食品など)を販売することも難しい。有店舗と同じ商品を流通させた場合、先ほどのような流通でのコンフリクトを生じる可能性がある。

以上の分析より、サントリーやコカコーラなどの大手飲料メーカーはミネラルウォーター宅配ビジネスに本格参入することは難しいと予測され、アクアクララはマーケットリーダーに君臨し続けられるとおもわれる。つまりミネラルウォーターという商品カテゴリーにおいて、有店舗ルートと宅配ルートで棲み分けされると思われる。」

⇒いや〜見事に外れてますね。アナリストのレポートって当たらないのね。。。現場のことをよく分かっていない人が書くとこうなります。
でね・・・このレポートは最後に海外展開の可能性に期待するといって結ばれています。この手のレポートは必ず最後が海外展開って事になりますが、そうやって書かなければならないルールでもあるのでしょうか?よくわかりませんが、レポート当時とは状況が変わってアクアクララは今では凋落の一途をたどっています。

そろそろ身売りでもするのかな?本業のLPガス事業は斜陽産業ですから、他の事業の柱がないと厳しいでしょうね。もしもアクアクララが買収されるなら、サントリーあたりが有力ではないかな?と思っています。サントリーはウォーターサーバー事業にかなり資金投下していますが伸びていませんから、買収してしまったほうが安上がりなのでは無いでしょうか。ここ数年のサントリーの販促チームの企画では業界上位に食い込むほど顧客数を増やすことはできないでしょうし。
それとそろそろアサヒ飲料がウォーターサーバー事業に食指を動かすかな〜なんて事を思ったり、コカ・コーラやネスレ、ダノン等々外資系企業が参入してきてもおかしくないのかな〜なんて考える今日このごろです。

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